コラム

2020.12.24

【電話ボックス】江口歩

考えてみると、たぶん10年、いや、それ以上に使用してないかも。
電話が手のひらに乗るサイズの時代にとって、『電話ボックス』はレトロな赤い郵便ポストのような存在となり、近い将来には観光名所となるだろう。

古町五番町通りのほぼ中心にある『電話ボックス』は、スマホ片手に古町五番町アプリを見ながら、開放的な空間を歩いている人たちをどのように見ているのだろうか!?

タバコの匂いがしたり、風俗のビラが貼られていたり、次の人が急かしたり、小銭がなくて100円玉を使ったのにすぐ切れたり、10円しかないのに間違い電話をしたり……。

密室な空間には様々なドラマあった。『電話ボックス』はこの時代の変化をどのように受け止めているのか!?
ひょっとすると、どんな時代でも自分の仕事、役割をしっかりと勤めるだけ、そう考えているのかも知れない。

黒電話、ポケベルを知らずにスマホを日常的に使っている世代にとって、『電話ボックス』は老舗のような存在かも知れない。

震災などで携帯電話が使えなくなった時に頼りになる『電話ボックス』は、100年続く老舗のように、安心と信頼が備わっている。
100年続く老舗と1年目の店舗が共存する古町五番町商店街は、安心と信頼の歴史が、新しい風を受け入れて進化している。

Writer:江口歩