古町通5番町商店街 CINQUE

五番町今昔物語〜老舗の視点でひもとく、商店街の歴史〜 1/5

「古町」の歴史は文字通り古く、およそ200年前の江戸時代からその名はあったと言われています。特に五番町では創業100年を超える店舗がいくつも存在。新しいお店とともに、商店街の中で営みを続けています。今回は、老舗3店舗による座談会。時代の移り変わりの中を歩んできた古町の歴史を振り返ってみました。

■参加メンバー

竹ノ内 智光(竹長糸店)

長谷川 尚英(長谷久商店)

池 一樹(はり糸)

 

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第1回 蚊帳、土蔵、北前船

 

—まずは、お店の歴史から教えてください。

 

竹長

うちなんか、まだ新しい方ですわ。

 

長谷久

はり糸さんはちょんまげ時代から?

 

はり糸

いえ(笑)。うちは明治6年からです。私が小さい頃ですので(笑)。

 

竹長

では、私から話しましょう。うちは昭和7年ですから、1932年。先代の父は当時、本町通りに本家があって、そこで糸を売っていたんですよ。父の兄たちと一緒に商売をやっておったんですが、事情があって本家が商いをやめたんですね。そこで問屋さんたちが、うちの父に「弟さん、応援するから新しく引き継いで商売をやりませんか?」と誘ったそうです。「それならばやりましょう」ということで、現在地の鍛冶小路のところで店を開いたのが昭和7年です。その当時、糸は必需品でしてね。呉服屋さんから反物を買って家で仕立てるとか、農家では野良着を作るとか、戦時中はもんぺがはやりましたけど、そういったものは全部自分の家で縫って作っていたんです。そんな時代でしたから、和裁用、洋裁用の道具がたくさんあったんです。それから、今では見なくなりましたけど、うちでは蚊帳も売っていて、ものすごく売れたんです。福井県の武生というところに蚊帳の生地を売っているメーカーがありましたので、そこから取り寄せていました。私が子どもの頃は、店の2階にミシンを5台並べて蚊帳を縫製していました。うちは小売も卸もやっていたんですね。当時、8畳吊りの一番高級な蚊帳が10円という時代でした。

 

 

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竹ノ内 智光(竹長糸店)

 

はり糸

竹長さんはその時代を目の当たりにしているんですものね。

 

竹長

私は学校から帰ってくると、糸を巻く手伝いをしていました。

 

長谷久

うちの店は、昭和10年から12年の柾谷小路の拡幅工事にともなって、現在の中郵便局のほぼ真向かいにあった店舗から、古町五番町に移転して今に至っています。それ以前の詳しい経緯は、残念ながらわかりません。当時から、建築金物や家庭金物といった商品を扱っていました。昔は鍋や釜からストーブまで、すべてが家庭金物というジャンルで括られていまして、今でもうちの土蔵には大きな鉄釜がありますよ。五番町に移ってからは、富山県の高岡市へ毎月通いながら、美術工芸品を現金で買ってきて販売を始めました。現在も美術工芸品が売上げの大きな比重を占めていますね。そんなところくらいしかわからんなあ。

 

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長谷川 尚英(長谷久商店)

 

はり糸

長谷久さんの前は何があったんですか?

 

長谷久

下駄屋さんだったかな…。

 

はり糸

竹長さんはご存知ですか?

 

竹長

昭和10年はまだ私、小学生(笑)。

 

長谷久

もともとうちは富山の出身で、いつごろ新潟に来たのかという経緯もちょっとわからないですね。

 

はり糸

前にBSNさんが100年以上のお店を番組で取り上げた時、長谷久さんも一緒でしたよね。五番町は100年以上のお店が6軒あって。文武堂さんとか、本間印鋪さんとか。

 

長谷久

はり糸さんみたいにちゃんと書き記してないから(笑)。

 

はり糸

いえいえ(笑)。うちは明治6年の創業で、北前船がまだ運行していた頃の話です。播磨国(今の兵庫県)から新潟に来て、雑貨商を始めました。

 

竹長

雑貨商だったんですか。最初からお菓子屋さんじゃなくて。

 

はり糸

「春華堂」という名前でスタートしました。ところが当時の店主が「糸蔵」という名前だったので、「播磨の糸蔵」ということで「はり糸」という通称になったそうです。

 

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池 一樹(はり糸)

竹長

うちはよく間違われたんですよ。針と糸を売っているもんだから(笑)。糸を買ってくれるならいいけど、お菓子を買いに来られてね(笑)。

 

はり糸

最近はさすがにないですけど、10年前くらいまでは「裁縫教室をやってるんですか?」という問い合わせが何回かありましたよ。

 

 

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